2018第10回 健康で歩き続けられる姿勢

健康で歩き続けられる姿勢

健康で歩き続けられる姿勢
健康寿命という言葉を近頃、良く耳にします。人の助けを借りずに一人で、生活・行動が出来る年齢の事を指しています。日本における投薬や医療器械による延命治療は、世界一と言われています。生かされているのではなく、自分の力で生き抜く身体が欲しいものです。その為には、いつまでも歩ける体が必要です。いつまでも歩ける体とは、言い換えるといつまでも歩く事の出来る姿勢です。

 

人間には、元々、遺伝による骨格形状の違いが有り、左右のどちらかに重心軸を持ち、骨盤の前後左右への回旋や傾斜によって、腰椎、胸椎、頸椎と姿勢保持反応が現れています。前後左右の姿勢保持反応は真逆への姿勢保持となり、左右への回旋は、下から上部への同方向への回旋となって現れます。ですから、誰でも何らかの歪みを持って生きていると言えます。その歪みに重力による継続的な負荷が掛かる事、姿勢のコントロールや保持反応を阻害してしまう履物や間違った運動からのゆがみが酷くなり、多くの疾病や歩行困難となってしまう現実があります。
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右軸逆S字体型 右軸C字体型 左軸逆C字体型  左軸S字体型

 

今まで、当たり前のように思われてきた高齢者の体のゆがみや要介護も実は、履物の影響や多くの医師や治療家の誤った歩行指導などによって起きてきていると考えています。健康寿命を延ばすための姿勢管理が、現代人にとってはとても重要なキーワードです。人間の体は前後、左右、交差方向に筋膜や腱・靭帯が引き合い拮抗している事により、姿勢を保っています。この拮抗が崩れる事で体のゆがみは酷くなります。前後左右の腱にぶら下がった状態になり、前側に潰れた姿勢、反り返った姿勢、回旋や側弯といった姿勢になって現れます。何れも、足元から身体を押し返して姿勢保持を行う能力が低下した場合に起きています。

 

では逆に足元からの姿勢保持能力が高いとどうでしょう、少ない身体の揺れや重心の移動を感知して、自身の身体を重力に対して楽なポジションへと導こうと誘導を始めます。この姿勢保持能力の高い方ほど、鉛直に近い身体になっているという事です。いつまでも歩き続けられる姿勢を確保するには、足裏の踵骨、拇趾級、小趾球の支点保持力と姿勢保持反応を高めなければ出来ません。常に重心位置は、基底面(左右の足の外側との間に出来る土台面)の中にいなければならないのですが、重心軸は生涯、重力によって潰される状況にあり、誰でも外側に重心を引っ張られて暮らしています、その中で、支点保持力が低下すると重心位置が外側に近づき始めて、体のゆがみと共に杖も使用しなくてはならない状況となります。
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基底面
綺麗な姿勢でいつまでも歩き続けるには、足裏の支点保持力を低下させない事が重要です。足裏のアーチの形状や足裏のフィット感による姿勢保持では、体の機能は緩むばかりで、危険な歩行となる事は勿論、姿勢の悪化を止める事すらできません。今まで多くのコラムやエクササイズで書いてきた足部の運動や伸展系の姿勢保持筋の活用がいつまでも健康で歩き続けられる姿勢を築く事になります。鉛直な姿勢を意識する事で日常の立位の疲労は目に見えて少なくなります。

 

基本となる足踏みから、足を出して歩くのではなく、重心を移動して歩いてみてください。更に頭部を体感上に引く戻す事で、重心位置が前に出やすくなることから歩行スピードは上がります。歩幅は大きく取らずに重心の移動分だけです。常に重心が足の上に乗る時には、脚部が伸展された状態で乗り込むこともポイントです。体のゆがみを改善すると共に、足元から支点保持力を高めて、姿勢保持筋を活性させてください。そしていつまでも綺麗な姿勢で健康に暮らしましょう。
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