第8回 重心の左右バランス
右足が軸足となっている方の骨格特徴は、第3回のコラムにも少し書いていますが、一般的に前から見た時に、C字型体型、又は逆S字型体型などの体型となって現れます。
この体型の運動特徴は、右打ち、右投げの場合、バッティングはダウンスィング、スローイングはスリークォーターが特徴となって現れます。左足からのステップは可能ですが、右足からのステップに遅れが生じます。片足立ち時のバランス姿勢も軸足では日常との大きな変化がなく立てるのですが、逆足になると上体でのバランス補正が必要となります。右打ちや右投げの場合、軸足からの移動となる為に重心移動がスムーズに行われ、脚部による踏みけりも強く行う事が可能な反面、移動後の逆足が不安定なために身体が流され易い特徴があります。有名な野球選手では、ニューヨークヤンキースの田中将大投手(マー君)がこの骨格を持った選手です。他にもマリーンズ鈴木一郎選手(イチロー)も同様の骨格を持ったタイプで右投げとなりますが、バッティングは左打ちの為に、下記にある左足が軸足となっているタイプの運動特徴だけが右足軸ですが現れます。またプロゴルファーでは石川遼選手がこのタイプの骨格を持っています。
左足が軸足となっている方の骨格特徴は逆C字型体型またはS字型体型となります。この体型の運動特徴は、バッティングではアッパースィング、スローイングではオーバースローが運動特徴となります。ステップや片足立ちに左足での同様の特徴が現れます。右打ちや右投げの場合、右足を移動させるクイックな動きは可能なのですが、スローイングやバッティングでの踏みけり運動やテイクバックにおける「タメ」を作る事が難しく、
上体を生かした運動特徴となります。フォロー段階での軸が安定しているために、姿勢の崩れが少なく、バットコントロールなども上手いタイプとなります。有名なプロゴルファーでは松山英樹選手がこの骨格を持っているタイプです。
この様に左右どちらかに重心が位置して軸足となって生活しています。骨盤の位置や前後左右への傾きによって上体や頭部が無意識に姿勢保持反応を起こして、個々の姿勢が形成されています。また足を組む動作や腕を組む動作も上体の傾きから現れる姿勢保持反応です。
年代によって変化する姿勢や何気ない動作の全てが、重力に対しての姿勢保持反応であり、骨格形状と筋肉量によって、重力に対してその時々に楽な姿勢を無意識に取っています。
足部や体幹の筋肉がしっかりとしている内は、身体を起こして自分の中での鉛直に近い姿勢を取る事で身体の揺れをコントロールしています。しかし、足部からの姿勢保持反応が弱くなると筋力で支える事が辛くなり左右への歪みや猫背、反り腰といった歪んだ姿勢となって現れます。そのような姿勢の悪化を防ぎ、いつまでも自分の力で歩けるように、安易なフィット感重視のシューズで満足するのではなく、三点バランス保持による足裏からの姿勢保持力を活性させて、骨盤位置をより安定した位置に整える事が必要であり、二足歩行を可能とした人間本来の機能を活性させる事が、甘やかされた生活環境で弛緩した現代人にとって重要な事なのです。