第11回 歩行指導と靴の関係
人間の骨格は、四足動物の後足と違い、簡単に大きく前に出すようにはできていません。
四足動物の大腿骨は胴体の近くにあり、膝が前側に出て傾いています、その事から後足の膝を伸ばすだけで爪先は前に出る仕組みです。人間は進化の過程で、踵関節が着地し、骨盤が起きて大腿骨が鉛直になっています、その関係から大腿骨を前に振り出さない限り、膝を伸ばしても足を大きく前に出すことはできません。特に四足動物の後足との違いは、膝関節と踵関節の位置の違いから真逆の運動となって現れます。
四足動物の後足は、関節を伸ばすことで全て前側への移動運動となりますが、人間は関節の向きの違いから、大きく足を前に出すと着地後に受動筋を使いながら関節を弛緩しなければ前に出した足への移動が出来ない仕組みになっています。この誤った歩行方法が体を支えている伸展筋の働きまで弛緩して、変形性膝関節症や腰痛症を引き起こし、足部や下肢の動きを妨げる事から、心肺の循環機能を補助する役割までも弱くしています。
人間の本来的な歩行方法は、足を大きく前には出さず、前足への重心移動を念頭に足の前部から着地して、足首関節をしっかりと使い踏み蹴って歩くことです。膝関節や踵への過重負担が軽減されて、誰でも綺麗に歩く事や弛緩することによる姿勢保持力の低下も回避する事が出来ます。この歩行は、人間が素足で歩くときに行っている歩行で、人間の骨格や関節の機能上、本来の歩き方になります。