第3回 左右の足首の可動範囲と荷重位置、体の回旋の関係

左右の足首の曲げ伸ばしの可動範囲には必ずと言っていい程に左右での違いが現れます

例えば右足の足首の曲がり度合いと左足の足首の曲がり度合いが違うとか、足首の伸ばした角度が違うとかという話です。

同様に股関節の可動範囲から脚の内返しや外返し足関節の内外アーチ状況によって、踵骨の回内外と距骨の向きや角度が決まり、左右の足の回旋や足先の内外への向きが現われます

人間の関節は、一般的には左右同程度の可動範囲を持ち合わせています。 然し、骨格形状の違いにより、足首の伸展屈曲・回旋は、可動量は同じでも左右の稼働位置に僅かな違いが生じる事が多くあります。

足首の曲がりやすい側の骨盤は前に移動しやすく、足首が曲がり辛い側は、前への移動よりも後方への移動を楽に行えることから、骨盤や上体はこの左右の足首の可動範囲によって、回旋を引き起こしています

同じように可動する関節を持っているにも拘らず、骨格による可動範囲の差や可動域の差は発生しています。では、関節の可動範囲は大きく自由に動く事が良いのでしょうか? 

サーカスの芸人さんやヨガのスペシャリストの様に、一般的には有り得ない動きが出来る方も居られます。遺伝による骨格形状は元より、訓練によって可動範囲を拡げられたものです。

ここで重要なのは、関節の柔らかさは重心が移動しやすくなる為に、動的なスポーツには不向きな身体という事です。体のゆれや移動を止める為の筋肉や腱の働きが必要となり、柔らかさと激しい移動運動は両立が難しいという事です。

人間の各関節に可動範囲や可動域が存在するという事は、逆を返せば、安全に力強い運動を行うには、可動域を超えた運動をしない事が障害予防や運動能力の開発に繋がるという事です。

無理に可動範囲を広げるストレッチや治療は、その可動範囲を広げた分だけ維持させるだけの筋力を必要とします。高齢者のヨガやストレッチはとても良い事と感じています。但し、重心や軸の移動が少ない場合に限られます。理由は高齢者にとって、身体を柔らかくする事以上に、筋力を強化する事が大変なことだからです

個々の関節の可動範囲の違いは当たり前にあります。それを踏まえた上で、体を柔らかくするだけでなく、各関節の可動域を知った生活やスポーツを行う事で、障害予防と介護予防に繋がる日常生活やスポーツを行う事ができます

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