スポーツコラム #1 『歩く、走る』
歩く、走る、の違いは何でしょう。違いは空中に飛んでいる時間が有るか無いかです。
体の重心が移動している速さの違いから、足が地についているのが「歩く」。
スピードが早くなり、両足が空中に飛んでいる時間が有るのが「走る」になります。
人間の歩行運動の基本は、足踏み(足の上下運動)です。
そこに上体または足首の前傾が加わると重心の前移動が行われ、無意識に重心の真下に足部が着地してきます。
体の姿勢保持能力で移動時に足部が踏み蹴る事でスピードが増して、飛ぶことで歩幅が長くなりますが、姿勢保持の本能から足部は必ず重心の下に着地します。
素足で足踏みをすると人間は爪先側から着地した足踏みを行っています。また、10cm程度の高さから飛び降りても、必ず爪先側から着地しようとする守る為の本能があります。
爪先側から着地する事で足部のバネの役割をしている足底腱やふくらはぎの筋肉を利用してショックを和らげています。バネ機能のない踵から着地する方はいないと思います。
然し、歩行となった時にはどうでしょうか、大半の方がシューズの影響から踵着地の歩行をしていると思います。
身体の重さを吸収する為に、足首関節や膝関節を曲げて重心を足の上に乗せて歩いています。
これが脚部の弛緩を引き起こして、変形性膝関節症や腰痛症を悪化させている原因です。
理想の歩行は、足を先に前に出して重心が乗って行くのではなく、足踏みの延長上にあり、重心が前に移動して足が真下で重心を受け止める歩行です。
出来る限り爪先側またはベタ足で着地する事を心がけて歩く事で、膝や腰への負担が軽減されます。
歩行も走る事も人間の身体の機能を理解して、十分に活用する事が体を守る事のできる移動方法です。
また歩行時、走行時には、手のひらを後に向けて、手の甲を前に向けて歩く、走る事で無理の無い移動が可能となります。
更に、手のひらで後ろに押すようなイメージを持つと姿勢も良くなり、速度も増してきます。
爪先側から着地する歩行にすることで、つま先の方向を真っ直ぐ前に向けて、歩く事、走る事ができます。
この事により、しっかりとした踏み蹴り運動は勿論、膝や股関節に無理なく綺麗な姿勢での歩行や走行となります。