第1回 人間の成り立ち・四つ足から二足歩行へ

人間が二本足で立つ生活になった理由は幾つか考えられていますが、未だに明確には解っていません。
但し、四つ足から起立して二足になった過程での骨格の変化や姿勢保持方法に違いが表れた事は明確です。

二本足で立ち続ける為に、高い位置にあった踵が着地し、足部の骨格を形成しました。
踵をベースに拇趾球、小趾球の支点保持によって土台としての役割を築いています。
そして、同時に骨盤や脊椎の形状変化も現れました。

二足になることにより肩甲骨や肩関節の変化も現れて、物を抱える事が出来るようになり、より大きな獲物を抱えて住処に運ぶことが出来るようになった訳です。

では、人間はどの様にして二足で立っている事が出来るのでしょうか?
これは個々の姿勢に大きく関係するのですが、左右の足部の三カ所の支点保持反応により、膝関節、股関節を通じて骨盤位置をコントロールする事で立位が成り立っています。

足部からコントロールされた骨盤の前後左右傾斜により、腰椎の前後左右傾斜や回旋が起きています。
そして胸椎下部から上部、頸椎までバランス保持の為の動きやゆがみが表れて姿勢を形成しています。

静止時の立位では、常に足部による骨盤位置のコントロールが行われている事で立ち続ける事が出来ています。
では、二足歩行はどうして出来ているのでしょうか?

人間には常に重力に対しての対応能力や姿勢保持反応が起きる動物的な本能があります。
体が前後に傾いて重心が移動すると必ず、無意識にその重心の下に勝手に足が出る機能の事です。

歩行は足踏みをしているだけ、重心を移動する動作を起こすだけで、実は歩行が出来るという事です。

その為に足を前に出して大股で歩く事が、良いと言われる方が多いですが、人間的な機能を無視した歩行となるために、危険な歩行と言えます。

歩行時に足を体(重心位置)より前に出すことは、障害に繋がります。
自然に重心を移動させる事だけ考えます。