拮抗バランスと姿勢改善維持方法 第4回|神経反射・「張る気」「弛む気」による伸展と弛緩
手を活用した手法で、身体の筋膜リレーションや末梢神経からの神経反射を利用して、前後左右方向に対して拮抗させた伸張を行う事で、理想的な姿勢を維持継続させる事が出来ます。また、この手法は、手で触らずに自身にも第三者に対しても、体の伸展や弛緩をコントロールする事が出来ます。
拮抗伸張は、姿勢の変化を求める場合や修正した姿勢を維持継続させる場合にも有効で、片手又は両手で、手の向きや位置を誘導してアレンジする事で、様々な条件にも対応できます。
然し、この手法による拮抗伸張は、大きな変化をもたらしますが、一時的な腱や筋膜の拮抗で作った張りや弛みに過ぎません。
重力によって体に掛る負荷に対して、立位、座位で四六時中、腱や筋膜の反応を手技によって鉛直方向に築く事に無理が有ります。骨の位置や角度を鉛直方向に近づけた調整を行い身体の姿勢保持負荷を少なくするのが本来の方法です。
その為にも、手法により維持させる為の拮抗伸張を行い、最終的な無意識な伸張や重力に負けない姿勢保持反応を築くには、足裏の足底腱からの反応を無意識に常に引き出せる事、座位に於いても腰椎の前後左右に対しての理想の立ち上がり角度を無意識に継続できる事が必要であり、それが出来なければ、所詮その場だけの手技になってしまいます。
理想的な骨格の維持継続には、骨格を維持している部位に対しての神経反射や腱・筋膜リレーションに対してのアプローチが必要で、その為に開発した、三点バランス保持インソール「B-TR」や坐骨調整シート「楽座衛門」が無意識な継続を可能としてくれます。
最終的な仕上げは、B-TRまたは楽座衛門上で、基本的な両手での拮抗伸張をベースに調整された姿勢をその位置で拮抗させていきます。回旋や側弯、前後弯での姿勢改善が足らない場合には、その動きを誘導する為の手の内外の回旋や上体の回旋調整を行った上で、再度
基本的な拮抗伸展を行います。
大切なのは、この動作を指導する事にあります。患者様やお客様が自身で、理想の姿勢を作り、最終仕上げを行う事が理想の姿勢管理であり、生涯管理となります。
次に応用手法として、患者様やお客様に対して伸張誘導や弛緩誘導を触れずに行う手法です。基本的な拮抗伸張の手の張り方は同様です。自身と他の方との違いは、自身には腱や筋膜の連携がある関係から確実な拮抗伸張や体を築けることが体感しながら出来ます。
患者様やお客様に対しての神経反射の拮抗伸張誘導は、張りを送るといった波動による末梢神経に対しての刺激です。身体の張りや体幹の安定や強さを作る刺激が神経反射による「張る気」です。
お客様の脚部や腕・腰といった部分に対して張りを持たせたい場合、手のひらを向けて張りを作る手法です。基本的な伸張が出来れば、その手のひらで張りを作れることが確認できますので試してください。
慣れない方は、立位では足部から、座位では腰から手を向けて体の表面を部位に向かって移動すると、しっかりと体幹や張りを持った姿勢と共にその部位が整います。末梢神経に対しての「張る気」が身体の姿勢保持筋の反応を高める腱や筋膜に対してアプローチを掛ける事によって、身体の姿勢保持筋の反応を引き出し、姿勢を維持サポートしています。
また、「弛む気」とは、身体の弛緩を作る手を握り「グー」を作る動作です。
手のグーは究極のストレッチ運動となり、神経反射からの腱と屈曲系の筋膜リレーション弛緩を引きだす事が出来ます。
自身で、この手の「弛む気」を肩こりや凝りの有る部位に持って行く事でも弛緩は起きます。
また、この「弛む気」を凝りの激しい部分やリラックスさせたい部分に持って行く事で、その部位は弛みだします。
治療時に緊張している部位を弛めたい場合にこの「弛む気」を利用する事で治療効果や治療効率を一気に高める事が可能です。
治療が終わった段階では、弛みきった状態で終わりにする事が危険な行為となる為に、身体全体に拮抗伸張による「張る気」を作り上げて仕上げるといった行動が必要となります。
繰り返すようですが、この様な手法によって、張る事や弛める事も簡単に行えますが、その場の手技に過ぎません。継続的な骨格(骨)に対しての仕上げは、B-TRと楽座衛門を活用した上で仕上げてください。
当然、お客様が自身で行う拮抗伸張もB-TRと楽座衛門が無ければ、生涯に渡り、継続的な健康維持や介護予防に繋がらない事も指導して行かなくてはなりません。