2018年 第3回コラム循環機能の働きが低下する靴とは
循環機能の働きが低下する靴とは
下肢は第二の心臓と言われています。常に体幹を押し上げている脚部は、重力の関係から水分や血液、リンパ液といった流れが下方で滞りやすく、心肺の負担軽減の為に、上部に向けて脚部から循環を促進させる為の補助機能として、ポンピング運動(下肢のポンプ運動)を行っています。下肢は、静脈やリンパ、水分の引き上げを補助しています。
下肢のポンピング運動は、足部からの姿勢保持や運動を行う事で、足部アーチの上下運動や足関節の曲げ伸ばしが行われ、下肢の筋肉が上下に伸展収縮運動することでポンプの役割を果たしています。
この大切な運動を阻害する構造の靴が、現代人の循環機能の働きを低下させています。
むくみや冷え性は元より、身体を弛緩させてしまうこの構造が、姿勢の悪化を引き起こし、現代病や生活習慣病にまで起因していると考えています。
循環機能の働きが低下する靴とは
1 内底が盛り上がり、足との隙間を無くしてしまう靴(フィット感のある靴)
足底腱の動きを止めてしまう構造が循環機能の運動低下を引き起こす
2 靴底のつま先が上に上がり、靴底にも丸みがある靴(ローリングを求めた靴)
転がる構造が、足部の踏み蹴り運動を阻害する事から循環機能の運動低下を引き起こす
3 内底の足幅が狭い靴、アッパーの巻き込みや押さえ付けが強い靴(締め付ける靴)
中足骨の可動と足底腱の運動を妨げることから循環機能の運動低下を引き起こす
4 べた足感覚が強く、素足感覚を感じられない靴(足裏の面圧を求めた靴)
足底腱の働きが困難となり、循環機能の運動低下を引き起こす
従来の靴の多くが、残念ながら健康な姿勢を維持するには好ましくない構造の物が多く、
更に、その構造特徴を販売する為のセールスポイントとして表現しています。
フィット感が良い、靴と一体感がある、しっかりと締めつける事ができる等、全て、足底腱と姿勢保持筋の弛緩を引き起こす事から、スポーツ傷害や姿勢のゆがみなどに繋がります。
靴のつま先が上に上がっているから歩きやすいという構造、この靴底形状では前側に意識的に蹴って重心を移動させる事や転ばない為に前側に踏ん張る事もできなくなります。
足趾で捕まえる動きが必要なのですが、つま先側の靴底が上に持ち上がる事で指の押さえも蹴る事も出来ないという最悪な構造です。逆に年配者の前方への転倒を引き起こしやすく、足部からの循環機能の活性にも繋がらない構造です。
本来は、素足での足踏みの様に前側から着地して歩く事が理想なのですが、靴の構造上の問題と訳の分からない医師やシューズメーカーの指導で踵から歩く事になりました。
その為に足底腱を活用した自身のバネ効果が活用できなくなる事から、踵部分へのショックが大きくなり、低反発材やショック予防の構造が増えた訳です。
人間の足部の機能を生かす為の歩行は、トウまたはミッド着地による歩行が理想です。
靴の締め付けが強くなく、靴の中で足趾が自由に動く靴の方が本来の足部の機能が生かされた歩行となります。
足底腱を正常に稼働させた歩行こそが、循環機能の補助を行い心肺への負担軽減や免疫力の
向上、自律神経の高いレベルでの安定に導けるものと考えています。