第7回 遺伝と靴が引き起こす足病や疾病
人間の歩行は、勿論素足から始まり、行動範囲や環境の変化と共に、体を守る為の履物が変化しました。硬いものや暖かいものなど、全てが人間の体を守り、行動から考えられた機能が履物の歴史でした。そして半世紀位前から大きな変化が訪れます。
人間の体を守る為のものから、ファッション性が高くなり、販売効果を上げる為の構造が主となって入れ替わりました。
ファッションという言葉に踊らされて、足に合わない窮屈な靴や歩きにくい靴を購入した経験はないでしょうか。逆に靴とのフィット感の向上という理由から足にぴったりとした靴を購入していないでしょうか。
人間にとって立位や歩行時の足裏の感覚は、例え靴を履いたとしても、素足と同様の足裏感覚がなくてはなりません。言い換えると、立っている時、歩いている時に二足歩行の原点である踵骨、拇趾球、小趾球の骨を足裏に感じていることが本来の人間です。
然しながら、多くのファッション性やフィット感を求めた構造の靴が、足底腱からの姿勢保持筋の弛緩を引き起こして、体のゆがみや慢性疲労、様々な疾病や障害の発生にも起因している場合があります。
特に足裏のフィット感は、根本的な骨での姿勢保持を妨げるばかりか、腱の緩みを引き起こす足裏の肉での姿勢保持となり、常に揺れた状態での生活となります。
足が自由に張りと弛緩を作れる本来の足裏の機能を疎かにしてしまい、気持ち良さや靴との一体感と引き換えにゆがみや足病は元より、循環促進機能の低下からの心肺機能や血行不良、更には、体の慢性的なゆがみによるストレスから自律神経にまでも障害となり、免疫力の低下や精神疾患と言った病にまで発展する危惧があるという事です。