第7回 重心の前後バランス

重心位置や前後左右への体の対応力を測定するには、単純な手押しによるテストが有効です。

先ず、被験者に股関節幅(腰幅より少し狭いスタンス)で足の向きを平行にして真っ直ぐ前に向けて立っていただきます。次に両手をおヘソの前方に出して手のひらを上に向けて重ねます、この手のひらを少ない力で上から押して、被験者の反射運動による変化を見て、重心位置や前後バランス保持力の強弱を判断します。

手が下がり身体が前に移動した場合は、日常の重心位置が前にある場合と骨盤を前に出す為の足部や前脛骨筋の対応能力(背屈力)が弱いことが確認できます。

同様の要領で手のひらを下に向けて、下からその手のひらを少ない力で押し上げる事で、後方に対しての対応能力を判断します。

手のひらが上に上がり身体が後ろに倒れる場合、日常の重心位置が後ろにある事と骨盤を後側に移動する為の足部の対応力(押し返し)が弱いことが確認できます。

 

次に、左右腸骨の前当りで、片手で同要領のテストを行います。左右の前後への対応力の違いを比較することで、左右の骨盤前後位置や骨盤・上体の回旋度合いを知る事が可能です。左右側での前後反応が異なる場合、仙腸関節からの骨盤の左右の歪みを知る事も出来ます。

左右側の前後反応が確認できた段階で、骨盤と上体の前後位置を確認します。

この確認により、日常生活の中での、骨盤と上体の前後左右の歪みと足部の前方への押し返しや背屈の強弱の原因を把握すると共に、常に重心方向に流れやすい姿勢を保持する為に、対応している部位や筋肉疲労、痛みや疾病の起きやすい部位が推測できます。

 

後重心の場合、足趾は浮き指となり易く、骨盤が前に出て、上体が後側に位置するために、

膝が弛緩しやすく前方に抜けて緩んだ状態になります、上体は前後の姿勢保持の為に、猫背になり易く、頸椎もストレートネックの反応が出やすくなります。

また前重心の場合の足趾は、ハンマートウとなり易く、骨盤は後側に位置して前傾している場合が多くなります、結果、反張膝や出尻・鳩胸といった姿勢保持反応も現れます。