第3回 「歩行」

靴の勘違い

靴には基本的な歩行理論があり、全ての人間がその様に歩く事が理想と思われている歩き方があります。歩く時に踵から着地して、小指付け根の小趾球を通り、親指付け根の拇指球に移り、靴先から離れる歩き方です。特にウォーキングでは身体の代謝を高める為にも、大股で歩く事を勧めています。

でも、健康増進の為に行っている大股で歩く動きが、足を前に出して先行させる為に、踵からの強い接地となり、受動筋による減速動作と膝の弛緩動作が行われ、踵骨、足関節、膝関節、骨盤と全てに抵抗を受ける事による負担が掛ります。「ヒールストライク、変形性膝関節症、股関節痛、腰椎圧迫」などが起こりやすいのも事実なのです。

前回のコラムでシャンクが靴の強度や足裏アーチの補強をした事で、素足の歩き方から靴の歩き方に変わったという内容を書きましたが、踵から接地する歩行は、踵骨が衝撃を吸収できる構造ではない為に、足関節や膝関節・股関節を筋弛緩による曲げ運動で抵抗を和らげています。脚部の曲げ運動による受動は、膝関節の不安定な動きや骨盤の体軸保持運動を阻害し易く、筋弛緩による関節への負担は計りしれません。

でも、現代の靴が世の中に広まり、人間本来の素足感覚の骨格や関節の役割を活かした歩行から、靴により作られた歩行となってきている為に、誰もが踵から接地して歩いているのが現実であり、世の中の常識となっています。