第2回 「シャンク」と「トウ」

現在、広く常識とされている歩行理論は、歩行時の重心が踵から着地し、小趾球から拇趾球に通過して、踏み蹴りながら前に重心が抜けて行くという考え方です。

私は、この歩行理論は、靴を強化し足裏のアーチの可動を妨げた結果によって作られた歩行であり、この考え方には、元々の人間の骨格機能上の無理があるように感じています。
無理がある部分は、踵からの着地です。踵骨は荷重を乗せて姿勢保持する重要な支点ですが、振動吸収機能が無い為に、踵骨は勿論、足関節や膝関節に負担が現れます、また、その為に、さらに「シャンク」や振動吸収材などの使用が必要となった訳です。

人間が素足で歩行を行うと足裏のアーチがたわむ事により、爪先側の拇趾球と小趾球のラインから着地し、踵に負荷が掛り、また前に戻りながら踏み蹴ります。
しかし、靴を履いている場合には、この「シャンク」が靴底と縦アーチの動きを制約する為に、踵からの着地となります。言いかえるとこの「シャンク」を活用した事で、今の歩行時の足裏の重心移動理論が出てきたと言えます。

詳しい歩行についての内容は、次回に説明しますが、現在の踵から着地する歩行理論は、人間の能力を更に高める物ではなく、逆に様々な傷害を引き起こしやすい物と考えています。理想は、素足と同様に足裏アーチが弛緩して、拇趾球または足指から着地し、踵を接地してから重心が前に移動して、爪先から蹴りだす運動となる事が自然な骨格の動きと捉えています。