第12回 「2012 学会発表抄録」

【考  察】
姿勢保持力の妨げとなる体の歪みは様々な理由によると思われるが、その一つである一部の履き物の流行により、足裏三点支持の足圧の減少や歩行時における下肢の運動を妨げていた事が原因の一つと言える。
姿勢保持力の悪化は、今後も運動能力の向上や傷害予防、介護予防などの各分野においても大きな障害となる可能性がある。
不安定な履き物や過去からの因習による履き物の考え方を改める時に来ていると考えられる。

【結  論】
人間の体は、建築物の設計などアーチ構造、屋根作りに必要なトラス構造等の物理や力学の世界と同様に、バイオメカニクスに基づき、足部に重要な各足弓や足底筋膜があり、体を支えている。
この原理は周知であるにもかかわらず、その足弓本来の機能を妨げている履き物やインソールが市場に出回っている事に危険を感じる。
今一度、足弓本来の役割を再考してほしい、足裏の足弓は、1 衝撃吸収姿勢保持 2 バネ運動 3 循環機能補助 という役割が有り、この役割は各足弓が上下可動を行う事でのみ機能する。
足弓の凹みを盛り上げて形を形成する対処や靴のフィット感だけを重視した物作りでは、この足弓の運動は生まれない。
特に足底筋膜の張りを無くし、内側縦足弓の可動を止めてしまう土踏まずへの持ち上げ構造は、足底筋膜の慢性的な弛緩を引き起こし、下肢の循環機能の活性や姿勢保持に大きな障害となる事が考えられる。
今こそ人間本来の姿勢保持の考え方に戻り、より未来にむけた足元や履き物の研究が必要である。