第12回 「2012 学会発表抄録」

【方  法】
個々の身体バランスの違いにより足圧分布は異なる状況にある、この異なる足圧分布を三点バランス保持による姿勢保持に変えた場合、三点バランス保持位置への荷重負荷が多くなり安定したバランス保持を行えるようにならなければならない。
最初のテスト方法は、足圧計(フットチェッカー・ドイツ製)による荷重の足圧分布と骨盤の位置や向きを確認する方法で行った。
通常の姿勢保持(荷重状況)と三点バランス保持による姿勢保持の違いがどの様に足圧分布や骨盤位置・向きに影響し、その足圧が被検者の身体バランス保持にどの様に感じられることであるかを確認した。
三点バランス保持により、各足弓が強調されて土台が出来る事による足部の安定と各足弓の上下運動による下肢の筋運動により、歩行時の蹴りだし運動が通常時より高まる事が予想できることから、次のテスト方法はハイスピードカメラ(ディテクト社製)を使用して歩行時のストライドによる足部の変化を200フレーム/秒で観察した。
踵の接地部分を支点とし、拇趾球下部への角度を表わすことで、足部、特に爪先部分の変化を観察する。
使用前、使用後、使用1週間後の素足と履き物使用時でインソールの有無による足部の筋運動の変化を観察することで、インソールが足部の機能的な向上に繋がるかを確認した。

【結  果】
足圧計による荷重分布の測定テストにおける結果は、足裏の足弓の状況により足圧の面積や負荷の大きさに影響を及ぼす、特に横足弓や外側縦足弓の筋膜に緩みがある場合には、面荷重が多くなり、内側縦足弓がハイアーチとなる事も確認できる、全被験者において確認できたことは、三点の支点保持部分に荷重が分散されて、強い踏みつけとなっている事が確認できる。
三点の各支点への荷重負荷が高まる事により、横足弓、内側縦足弓、外側縦足弓の足弓効果が高まり、姿勢保持力の向上に繋がる、この理由として、足部の足底筋膜に緩みがある場合、足裏の姿勢保持が面圧の多い不安定なものとなってしまう、各足弓が同時に足弓本来の張りやバネ運動を行える状況になる事で三支点の上にある距骨が安定し、姿勢保持力の向上に繋がっていると考えられる。
ハイスピードカメラによる足部の観察では、全被験者に現れたものは、裸足または履き物使用時にインソールを使用する前と比べて、足部爪先の上がる角度が高くなっている。
これは各足弓の筋運動が活性される事により、足弓のバネ効果による踏み蹴り動作が強くなった結果と思われる。
踏み蹴り動作が強くなる事で、歩行時の歩幅が広くなり、足部の後方への蹴りだしが強く行われるほど、爪先の引き上げ運動もリアクションとして強くなる事が確認できた。
また、履き物の内部構造により、インソールを使用しても三点保持が有効とならない場合がある、それは履き物の土踏まず部分や横足弓下部が高くなり、内側縦足弓や横足弓の働きを妨げている場合に起きる事も同時に確認できた。