第1回 膝関節の痛みと骨盤の関係について
膝関節は、足関節と股関節の中間に位置して、骨盤の上下運動や屈脚による受動筋使用時の衝撃吸収、伸展運動を使っての跳躍、また、左右の足部が前後左右位置で開いている場合に起こる骨盤の前後左右移動などを行っています。
可動範囲の広い足関節や股関節の間で、膝関節が曲げ伸ばしだけを行う単純関節であるからこそ、
立位時のバランス保持誘導や歩行時の骨盤をベースとして脚部の運動を可能としています。
様々な運動を引き起こしている足関節や股関節の繋ぎとして成り立っています。この事から単純関節である膝関節に痛みが発生する場合や姿勢の悪化、歩行障害は足関節又は股関節との関係に問題があると考えられます。また、左右脚長や脚部脛骨の曲がり、左右重心位置の偏りなども、痛みの要因として挙げられます。
長時間の車での移動やオフィスなどで、同じ姿勢での座位が続くと、その後に立ち上がろうとした時に、上体の荷重負荷が一気にかかる為に、膝関節に強い痛みを感じる場合があります。
各々の痛みの場所や痛みの度合いなどは様々ですが細かくみると痛みは、前側の上部または下部、後側の上部または下部、膝関節内や内外の側副靭帯及び中心部分といった部位に痛みを感じているのではないでしょうか。
様々な膝関節の痛みの最大の要因として重力があり、脳や循環器障害、内臓障害、神経系の障害なども、その他の要因として挙げられます。ここでは人間が二足歩行を行ってきた原点である姿勢を追及する事で、その最大の要因である重力に対して、根本的な解決策を考えていきたいと思います。
膝関節の痛みは、膝関節周りの腱や筋肉によって保持されていますが、そのサポート力が弱くなった場合や膝関節が本来と違う可動域に向かって負荷が掛った場合に痛みが発生すると考えられます。
膝関節前側下部の痛み
この部分の痛みの考え方として、階段の下りなどで、前足に荷重が掛かっている状況で、膝関節が曲げられていく段階で起きる痛みであり、姿勢からくる荷重が大腿骨と脛骨との間に、大腿骨の前滑りを引き起こして、膝関節前部の膝蓋靭帯下部への負担から生じているものではないでしょうか。骨盤が後傾している場合に多く、痛みの症状を緩和する為には、骨盤を前傾に誘導する事と膝関節を伸ばす伸展筋の働きを優先する中で重心移動をさせることで、解決していくと思われます。
膝関節前側上部の痛み
この部分の痛みの考え方として、階段の上りなどで脚部が大腿の裏側のハムストリングスを使用している状況や立位で膝関節が伸びすぎていて反張膝になっている場合、ボールを蹴ったりしたときに起こり易いのではないかと推測しています。
脛骨の押し上げと大腿骨の立ち上がりの強さにジョイント部分の負担がある為、膝関節が伸ばされる程,上部に痛みを感じてしまいます。脛骨と大腿骨の間に、大腿骨の後ろ滑りが起こり、膝関節前部の大腿四頭筋腱または前十字靭帯前部大腿骨側にかかる負担により生じているものではないでしょうか。骨盤が前傾している場合に多く、痛みの症状を緩和する為には、骨盤を後傾に誘導する事と膝関節を適度に緩めて膝関節の反張を無くして行くことで、解決していくと思われます。
膝関節後側上部の痛み
この部分の痛みの考え方として、脚部を屈伸していく時や膝を着こうとした時などに起きやすいと考えています。曲げられる状況、または曲げた状況での大腿骨と脛骨との間で、大腿骨の前滑りが起きている事が原因の一つと想定しています。
骨盤後傾で前過重が強い場合に考えられ、階段の下りなどで後足脚部が受動筋を使用している状況で、膝関節が曲げられていく段階で起きる痛みであり、膝関節内の前十字靭帯大腿骨側に対しての負担が生じているものではないでしょうか。痛みの症状を緩和する為には、骨盤を前傾に誘導する事と足関節を伸ばす伸展筋の働きを優先する中で、重心位置を後部に誘導することで、解決していくと思われます。
膝関節後側下部の痛み
この部分の痛みの考え方として、椅子に座るときなどに、大腿筋が衰えている場合や骨盤前傾で、後過重が強くなっている場合に起こり易いのではないかと推測しています。
屈脚時の膝関節後側下部への負荷が強くなり足底筋や後十字靭帯脛骨部などに痛みを感じる状況が起こり易くなっているのではないでしょうか。脛骨の受動筋の弱さや後過重により、脛骨と大腿骨との間で、大腿骨の後ろ滑りが起きている事が原因の一つになっていると考えています。痛みの症状を緩和する為には、骨盤を後傾に誘導する事と重心位置を前側に移動させることで解決していくと思われます。骨盤の後傾への誘導と共に、重心位置を前に戻す為には、前脛骨筋の筋収縮、屈脚時の痛みを大腿筋のスロースクワット(特に屈伸方向)等が有効と思います。
内側側副靭帯
X脚や内股、外向き足、骨盤前傾、軸足荷重過多などの要因とスポーツでの過度運動や慢性的な負荷が膝関節の内側にかかった場合に起こり易いと考えています。痛みのある足部の内反と歩行スタンスを狭くすることが有効です。
外側側副靭帯
O脚や外股、内向き足、骨盤後傾、軸足荷重過多などの要因とスポーツでの過度運動や慢性的な負荷が膝関節の外側にかかった場合に起こり易いと考えています。痛みのある足部の外反と歩行スタンスを広くすることが有効です。
膝関節内の痛み
日常的に行う屈伸や立位の時まで、膝関節内で刺すような痛みや重い痛みを感じる場合、膝関節内の半月板や前十字靭帯損傷があげられますが、スポーツによる傷害や加齢と姿勢のゆがみから起こり易いものとも考えています。
姿勢づくりは、どのような状況でも脚部の関節を通して大腿骨や脛骨が鉛直に近い状況に持っていく事で、真直ぐに荷重が掛かるように仕上げます、それにより骨粗しょう症の予防や骨密度の高い元気な骨格を維持できると考えています。