第11回 呼吸法と姿勢の関係
腹式呼吸のメリットとデメリット、健康姿勢の維持には胸式呼吸
一般的に健康づくりの呼吸法として、鼻から数秒で吸って、口から細く長く吐くといったロングブレスが推奨されています。エアーフィルターとしての鼻から酸素を十分に取り入れて、口から体内の空気による圧力を調整しながら吐き出しています。
まるで、車のエンジンの動きに合わせたマフラーからの排気調整の様です。
鼻からの吸気には横隔膜や胸部の筋肉による肺呼吸が強く深く行われていますが、口からの呼吸は吐気が中心となり、鼻からの吸気では間に合わない場合に多く、酸欠状態では口呼吸となり呼吸も浅くなり易いです。勿論、鼻から吸って口から吐く呼吸が、睡眠時や呼吸器系の疾病に繋がらない理想の呼吸です。
腹式呼吸が健康に良いと言われていますが、姿勢の悪い方が行っているのは腹式呼吸です。
姿勢の良い方は、同じように呼吸を行っても胸式呼吸になります。
理由は、肺に入った空気により横隔膜が下がるのですが、姿勢が悪い場合には内臓を上から押す事で、お腹が前に出てしまう腹式呼吸となる訳です。
胸式呼吸の場合、肺に空気が取り込まれても胸郭が開く事で行っている為に内臓の前への押出は無く、逆にへこむ状況となります。
腹式呼吸は姿勢や体の動く部位だけでなく、吐気が中心となった脱力呼吸となり易く、胸式呼吸は吸気が中心となった腹部のドローインが行われる呼吸法の違いが現れています。
日常活動では、健康姿勢や脳の働き、自律神経のバランスなどからも吸気をベースとした胸式呼吸をお薦めします。
また、就寝時に中々眠れない場合には、口を大きく開けた吐気を行う事で、若干の酸欠となり、口から酸素を吸う行為(あくび)が直ぐに出るでしょう。
酸素の摂取状況や姿勢の変化から活動時には胸式呼吸、安静時には腹式呼吸が有効です。
スタイルアップやダイエット、ウエスト周りのシェイプアップには、胸式呼吸に寄るドローインがベルトな呼吸法です。この呼吸法は、年配者の腹筋や背筋を鍛える為の呼吸法としても有効で、ロングブレスで行う事により、呼吸そのものが運動として成り立ちます。
また、息を早く吸うと脈拍が上がり、活動時のアドレナリン過多の状況になります、逆に息をゆっくりと吐く事を連続して行うと、脈拍や血圧が下がり安静方向に向かいます。
吸気、吐気によって色々な体の変化が現れますが、出来れば活動時や良い姿勢を保つためにも胸式呼吸をお試しください。