第5回 足部が骨盤位置を決定し、初動運動を行っている
人間は足部の三点支持により立位を形成しました。そして踵をベースとした重心から足裏の拇趾球や小趾球への押し返し運動や弛緩動作によって骨盤の向きや前後左右への移動運動を行っています。
然し多くの現代人は足部の三点支持のバランスが崩れて、足部の土台が形成できていない現実があります。遺伝や生活習慣によりできた骨格が、フィット感を求めた誤った構造の履物によって弛緩されて、無意識に体のゆがみを悪化させている現状があります。
人間のバランス保持には「静的バランス保持」と「動的バランス保持」があります。
「静的バランス保持」とは、足が止まっている時のバランス保持で、足部の誘導で骨盤位置を移動調整する事でバランスの取れた姿勢を保つ事が出来ています。腰の上で輪を回すフラフープを想像して頂ければ、オーバーな動きですが理解できると思います。
立位の土台となる足部が停止した場合、または運動を起こす際の重心移動時に足部からの骨盤誘導による初動運動が行われています。
「動的バランス保持」とは、骨盤をベースに重心の移動が行われる時のバランス保持で、竹馬乗りと同様です。重心の移動する動きに合わせて土台となる足下の竹が重心の真下に着地する。人間の歩行の基本運動で足踏みがその動きになります。
現代人は靴の関係から体よりも足が前に出てしまう踵着地の歩行を行っています。理想の歩行は、体の構造や運動理論から考えても、足踏みの延長で爪先側からの着地と常に重心の真下に伸展した脚部が着地する歩行で、骨盤や重心を支えて無理のない歩行が可能です。
また、「動的バランス保持」は動いている限り転ぶことはありません。歩きを止めた時に「静的バランス保持」への切り替えが必要となるのですが、年配者の転倒はこの切り替えが上手くできない事で起きている場合もあります。
運動時には拇趾球や小趾球への負荷による骨盤の回旋運動や横移動が初動運動となり、次の大きな重心移動に繋がっています。その関係から足部の支点保持力や押し返し動作の機能低下が起きている場合など、初動動作の遅れや弱さから腰の回旋や移動運動にスピードやパワーが発揮できない状況になり、必要以上に無理・無駄な筋力を使用しなければならなくなってしまいます。
一般的なインソールと違い、B-TRを使用する事で体幹や運動能力に大きな変化が現れるのは、この足部の支点保持力の違いです。