第8回 変形性膝関節症2

今の医学では、重力に対して、骨への物理的なアプローチができていないように思います。
保存療法で活用されている足底板によるインソールやシューズであっても、骨に対する対処ではなく、筋肉へのアプローチとなるために足底腱膜の弛緩を引き起こし、姿勢保持を困難にするという欠点もあります。

足裏に合わせたインソールや足裏のアーチ形状を作ろうとする持ち上げた構造では、足裏の筋肉や面に対しての対応であり、フィット感は高いのですが、足裏の姿勢保持反応が緩慢となり、常に足部が揺れた状況となるために、膝関節への負担は増大します。

運動療法でも勘違いされやすいのは「大腿四頭筋を鍛えれば膝関節は安定する」という概念が殆どなのですが、その前に足関節が膝関節を揺らしていることを理解し、解決しなければなりません。
遺伝と生活環境や習慣によって骨格が形成され、上記のいくつかの要因により体に歪みが現れますが、可動範囲の広い股関節と足関節の間で体を支えている膝関節は一定方向に可動する間接である為に常に負担がかかってしまう訳です。

膝関節は、基本的に靭帯によって守られ可動しています。
適度にいくつかの靭帯が引き合うことで膝の揺れや可動域を支えています。
歪みにより、膝関節に無理な方向への負担が多くなった時に、サポートしている靭帯から痛みを感じ始めます。
さらに悪化すると膝関節内の損傷による痛みに発展します。

私の考える本来的な対処方法は、足裏の各アーチの支点保持力を高めて、足部が十分に可動する事で姿勢保持力を高めることが、変形性膝関節症にならない為、また膝関節症解決の第一歩かと思っています。

足は踵からつま先まで全てが関節の集合体です。
稼働するための骨の集まりなのです。
アーチの形だけを求めた構造や足形にぴったりと合わせた構造のインソールや巻き込みの強い履物では、いつまでも解決は望めないでしょう。

足部の土台を安定させて、足裏からの伸展運動を活発にさせる事により、膝関節の揺れは大幅に軽減されます。
痛みの緩和や姿勢改善は充分可能なことだと思っています。

足裏の三支点(踵、拇趾球、小趾球)の骨が出ていることで、三点支持となり強い土台が出来ます。
骨による土台が本来であり、足裏の肉で立つような構造が膝関節を更に壊していく事は目に見えています。

多くの医師や医療の現場は当然のことながら受け身であり、病気や障害に対して能動的な活動はまだまだ出来ていないと感じています。
本来は、起こってからの医療ではなく、予防医学の更なる発展が必要と感じています。

怪我をしないための研究や骨格が歪まないための医学を考え、先に警鐘を鳴らすのが、本来の医療現場に求められる事ではないのでしょうか。
本当に必要なのは患者を治すことよりも患者を作らない活動が重要と思っています。

足関節の影響による歩行時の足の向きや骨盤の前後傾や左右位置などの関係から股関節の可動範囲や大腿骨の向きが影響されます。

歩行時に大腿や膝の向きを正面に向けた場合、この足部の影響からつま先の向きが変化して、内向きや外向きによる歩行が起きています。

この様に、足部と股関節の位置や可動域により、膝関節の可動方向が決定づけられて、膝が動いていますが、膝関節は曲げ伸ばしだけが出来る単純関節の為に、可動域のある足関節や股関節の動きの負担が全て、膝関節に現れています。

当たり前に行っている歩行でも、足の向きや腰の向き・角度などの方向のずれが膝関節への負担となり、
日常的に負荷が掛る事から、膝関節の可動範囲に変形が起こり靭帯損傷や関節障害を起こしています。

昔の地下足袋やわらじの暮らしなら、1日7,000歩とか、歩く事により健康な体を築けたかも知れません。
何も知らずに行っている歩行やジョギングが、靴の影響から健康どころか、要介護に向かっている方も多いと思います。

変形性膝関節症だけでなく、ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、肩凝り、顎関節症、
ストレートネック、四十肩・五十肩、冷え症、むくみ、頸椎損傷、背筋痛、猫背、側湾症、
反り腰、反張膝、外股・内股、慢性疲労、循環器系疾患、呼吸器系疾患、精神疾患 など
これらの疾病は重力と骨格形状、履物や足部の状況、歩行方法に大きく起因しています。

多くの方にB-TRの意味合いや役割を伝えてご使用いただく事で、介護予防は勿論の事、これからの人生を張りのある力強い姿勢で暮らして頂くことが出来ます。