第7回 変形性膝関節症1

一般的な疾病の中で腰痛と共に多いのが、変形性膝関節症です。
年齢と共に多くの方が発症する疾病で、変形性膝関節症は中高年の膝関節の痛みで最も多いとされています。
自覚症状を感じる患者数は、推定800万人とも言われています。

様々な医学書や関係書籍を見ると、大まかには、運動による傷害と病気から発症するものに分けられ、痛みの度合によって、運動、薬、手術と対処方法が分かれています。
痛みの起こる膝関節内の部位や、その状況も正確に捉えていています。
しかし、根本的な原因となる、重力や骨格のゆがみに対する対処方法は確立されているようには思えません。

関節リウマチや化膿性関節炎などの病気から発症する痛みは、原因となる病気の回復を優先に行い、それから膝関節の治療となります。
その他大半の変形性膝関節症に至る要因は、怪我や筋肉疲労、加齢による筋力低下から起こる膝の痛みであり、初歩的な痛みであれば運動療法による筋力UPでの解決が一般的です。
痛みが強い場合には、関節注射や装具による保存療法が行われ、痛みの軽減度合いにより運動療法も併用した処方となっているようです。

さらに悪化した場合には、手術による膝関節への負担軽減が挙げられます。
骨をカットする方法や人工関節などを入れることで、膝の稼働をスムーズにしようとしています。
余程の状況でない限り避けたい治療手段あり、自分だけでなく家族も含めた精神的なストレスや負担は大きく、出来る限り避けたい治療方法ではないでしょうか。

様々な治療法がありますが、何故もっと根本原因である重力に対しての対応能力、特に骨格形状のゆがみ、履物による姿勢保持力の低下などが表に出ないのでしょうか。

人間は、常に地球を押し返すことで立っています。
この押し返しの土台となる足裏や足関節が不安定になると重心位置が移動し、常に筋力による姿勢保持のストレスに対応しなければなりません。
筋力の低下や足に合わない履物を使用することで、さらに重心位置や骨盤の前後傾、前後左右への移動が強くなり、脚部の湾曲や変形性膝関節症を引き起こしている事をもっと重要視するべきだと思っています。

残念ながらO脚の方に対しての変形性膝関節症の保存療法として、踵の下に入れるO脚用パット(膝を体の内側に入れる)ですら踵骨の回内外など考えずに行っているのが現実で、実はかなり危険な場合もあることは知られていません。

両踵骨が回外している場合は更に膝関節に負担がかかるばかりか、内足靭帯や足関節内側への負担が大きくなります。
左右の踵骨がそれぞれ回内、回外している場合には骨盤の移動により上体に姿勢保持のためのゆがみが現れます。
いずれにしても左右の踵骨の回内外を考慮に入れた対処をすることが本来です。

運動療法においては、多少の痛みがあっても運動や歩行を行うことを勧めていますが、私は大反対です。
ヒアルロン酸などの関節注射や膝サポーターをしてまで行うウォーキングなど論外です。
一時的な大腿筋などの活性から膝関節の揺れや痛みが治まっても、関節への負担は、更に増大しているといっても過言ではありません。
更に、心肺機能は高まることから要介護となった場合に、元気なのに動けないという、最悪のパターンとなってしまいます。

問題は、重力による自身の重さを対処できる骨格を作り、その姿勢を継続することにあります。
出来る限り早い段階から、重力に対しての鉛直な姿勢を築き、管理していくことが大切です。
日常的に無意識の中で行われている姿勢保持を極力、少ない筋運動で行えるようになる事こそ、人類が求めるものではないかと考えています。

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