拮抗バランスと姿勢改善維持方法 第5回 手(前足)足(後ろ足)動物的な機能を生かす技術
四つ足動物から二足歩行となる進化の名残と動物が自然に行っている動作を参考にすることで、動物的な機能と人間にしかない運動機能をフルに発揮させる事や障害予防に関わる安全な動きを行う事が出来ます。
舌や目の動きが頭部の動きをリードして、更に体幹移動の初動動作となっています。
先ずは舌や目の動きと頭部の動きがリンクしている事を試してください。舌や目を右に向けると頭は自然に右に向こうとします。舌や目の向きと頭部が逆の動きを行うと対立運動となり、首を痛める動きとなります。
舌や目の腱や運動神経の動きと同様に、手の動きや指の動きが行動を起こす為の初動運動となっている事から同方向の場合にはスムーズな動きとなり、無意識に目や舌、手の先行動作と逆の動作を起こしてしまうと対立運動となり筋肉や関節への痛みや凝りが発生してしまいます。
その為、無理な筋疲労や痛みの原因とならないような身体運動にルールを作ると良いでしょう。この自然な初動の動きを行う事で障害予防は元より、介護予防に至るまで、動物的な本来の機能が確実に安心安全な生涯を築いてくれます。
基本的には、手の(グー)弛緩運動や手の甲の向きに対して体幹は運動を起こし易く、手の(パー)伸展運動の手のひらの緊張に対しては動作が対抗するので、止める、壁を作るといった動作となり、その方向への回旋や移動に負担が掛かります。
この手による誘導をテストするには、右手の指を右に向けるか、右手を握る(弛緩動作)、右手の甲を身体の右側に向けてください。頭部は元より、身体を右側に向ける事が容易に出来ます。逆にその状態から頭部や体を左に向けようとすると対立運動になる為に、身体に抵抗を感じます。日常の動作で、この様な対立運動をしてしまうと部分的な痛みや凝りを引き起こす場合があるという事です。
人間の身体は、二足での立位である為に、下肢の伸展運動と体幹の姿勢保持筋によるバランス保持で立ち続ける様に進化しました。そして四つ足動物は、弛緩による屈曲姿勢の中でバランスを保って、上肢(大腿筋やハムストリングス)での運動がベースとなっています。
人間は立位の生活が中心となり、低くなることが少なくなり、上肢(大腿筋やハムストリングス)の役割は極端に少なくなり、下肢による姿勢保持や移動運動も行われる様になると、余程、低い姿勢での活動を行わない限り、上肢は退化していくと言われています。
この大切な下肢の姿勢保持機能や循環促進機能を高める為に開発されたインソールが、三点バランス保持理論によるB-TRインソールです。
足裏の踵、拇趾球、小趾球の三か所の骨で体を支える事で、足底腱から身体を巡る伸展系の筋膜リレーションの働きを高める事や下肢の循環運動を活性させる事が可能です。
日常の歩行や行動に不安がある方やスポーツ時にパワーを最大限に発揮したい場合も、このB-TRインソールが有効です。更に手の甲による「進める」誘導や手のひらでの「止める」誘導が理解できると、障害予防は勿論、運動能力を高める事も可能となります。
特に年配者には、手の甲や手のひらがスムーズな歩行や歩行時の身体の安定や体を支える杖と同様の役割が可能である事を是非、お試しください。