第6回 足関節と股関節で歩行姿勢が作られる
足関節と共に大切になってくるのが、股関節による大腿骨の可動範囲や方向です。
遺伝による骨格が、日常の生活習慣や仕事の環境などで、日常的に同様の姿勢をとっていると左右の股関節の可動範囲に差が起きてしまい、仙腸関節からの骨盤の傾きの左右差により、大腿骨の可動範囲が偏ってしまい、歩行時の骨盤の揺れや足運びに影響が出ます。
歩行時に真直ぐに前に向かって出したい足が股関節の特徴によって外向きや内向きに出される歩行が現れるという事です。
世の中で常識とされている姿勢よく大股で、足を前に振り出して踵から着地する歩き方は、スポーツメーカーや履物業界の誤った構造の履物から作られた歩き方ですが、踵から着地した歩行を行うことで、膝関節の伸展運動による安定が作れないために、踵着地後に膝周りの靭帯が弛緩して踵骨の方向に合わせて移動します。まっすぐ歩いているつもりでも、膝の移動方向とつま先の向きに異なった変化が現れるという事です。
更に慢性的に踵から着地した歩行を行っていると、履物の構造と踵からの着地による体の弛緩から膝関節から上体も同様に緩められた状態となり、ゆがみの原因となります。
綺麗な姿勢は元より、安定した歩行を作るためには骨盤の安定が重要な課題となります。骨盤の特徴として、骨盤の前後位置、前後傾斜、左右位置、左右骨盤の大きさや骨盤前部の開き度合い、左右の骨盤の大きさの違いや左右骨盤の仙腸関節からの前後傾斜の違い等などによって軸足や股関節での左右大腿骨の可動範囲や方向が決定される為に、歩行姿勢を整える為には、骨盤位置や方向、体幹の安定が欠かせません。
一般的な弛緩を主に行う姿勢づくりや歩行指導、運動指導、筋力トレーニングなど、実は、何をやっても根本的な解決にはならないと考えています。理由は、姿勢を形成する上で重要な骨盤の位置や向き・角度を作っているのが足部からの靭帯であり、根本的な姿勢や運動特徴、更には体幹を築く事も足部で行っているからです。
足部の腱の伸展や姿勢保持筋を無意識に活用させる姿勢を作ることで、片足バランス時の骨盤の安定が、浮いている足の動きや方向にまでも影響します。
何度も書くようですが、足裏の三点バランス保持が原則です。その上で、本来的な歩行であるつま先側から着地した歩行を行って欲しいものです。
綺麗な姿勢と安定した歩行を求めた場合、先ずはつま先と膝が真直ぐに同調した動きをしなければなりません。その為には足裏からの各靭帯が適性に伸展して足首関節を安定した位置にコントロールする必要があります。
その上で重心移動と同時につま先側から着地することで、足裏のバネ効果や姿勢保持筋の張りを作り、その後の重心の移動により、踵が上がり、次の重心移動と共につま先側から着地した歩行が行われます。
その様な歩行は、誰でもつま先の向きと膝の向きを同方向にコントロールすることが出来る為に、膝関節や腰に痛みなど感じない歩行と姿勢の良い日常生活がに導くことが出来ます。