第5回 足と体幹の関係について
人間の「体幹」とは、上体の胴体部分の事を言いますが、一般的な「体幹」というと、アスリートが個人の書籍やテレビでトレーニング方法などの説明に使われています。
「体幹」トレーニングとはフィジカル(物理的、肉体的)な部分での強さを求めたトレーニングであり、その説明を行う際に「体幹」を重要な要素として説明しています。言い換えると上体がブレないための軸とでも言ったほうが解りやすいかもしれません。
体幹とは、上体の中央で姿勢をコントロールしている背骨とその周辺のインナーマッスル(姿勢保持筋)を指していますが、厳密にいうと姿勢保持反応が起きている状態またはその反応を起こせる体の環境を指していると思います。
アスリートやスポーツトレーナーが、インナーマッスルや「体幹」を鍛える為に、過度なバランスコントロールのトレーニングを行っていますが、「体幹」に関わる基本的な姿勢保持は、熱いものに触った時に無意識に手を引く動作と同様の脊髄反射ですので、脳で考えて意識した段階で、アウターマッスルによる反応となり、「体幹」トレーニングどころか、運動筋の過剰な筋疲労による関節障害や運動障害が起きてしまう事も考えられます。
理想から言うと無意識の中で、姿勢を鉛直にコントロールできる高いレベルの姿勢保持反応と対応できる腱や靭帯、筋群を作り上げることが、人間にとって最強な「体幹」と言えます。
より完成された「体幹」は、鉛直な姿勢に近づくことから少ない姿勢保持筋でのコントロールが可能となり、無駄な筋疲労がないことは勿論、体軸が常に安定していることから潜在的な運動能力やアウターマッスルを十分に引き出すことが可能となります。
「体幹」による姿勢保持は、神経の反応により、足元から体中に巡った腱や靭帯・筋膜などをリレーして姿勢をコントロールしています。また、この腱群のリレーションは、骨盤の前後左右への移動や左右の腕や足の同調した動き、拮抗した腱の逆への反射運動となって反応もしています。