第9回 骨盤の回旋運動

骨盤の回旋能力を高めるには、足裏のアーチ運動や反応速度、姿勢保持力や踏み蹴り反応を高める必要があります。足裏からの初動の速さや脚部に伝える押し返しの反応を上げることで、回旋能力(速さ・強さ)は高いレベルとなります。

足部のダンビロ(開帳足)、甲高(ハイアーチ)、偏平足(内側縦アーチ弛緩)が強い場合には、一般的なスムーズな骨盤の回旋運動を行うつもりでも、ベースとなる安定した足部の運動を行うことが難しい為に、膝関節や股関節に無理が生じます。それでも早い回旋や強い回旋運動を行った場合、余計な部位まで筋負担が掛かり、膝関節障害や腰痛症といった疾病となってしまいます。

一般的に足裏の各アーチの反応は、遺伝と生活習慣によって前後や内外に偏っているために、自然な立ち位置でも、骨盤と上体はどちらかの方向に回旋しています。特に軸足側の足部の回旋している方向に対して、押し返しの反応をしなければならないアーチ運動が弱くなっているという事です。腰や上体を回旋した時に、回し易い向きや回しにくい向きがあるのはこの為です。

左右に均等な骨盤の回旋やどちらかに偏った骨盤や上体の向きを整えて、脚部と同方向に真っ直ぐ向く為には、骨盤と上体を正しくキープさせる足部の反応が必要となります。足部の反対方向に向けての内返し、または外返しの運動を行い、アーチの運動や足部の押し返し運動を高めます。

日常から足の向きと骨盤や上体の向きが、綺麗に真っ直ぐ前を向いた姿勢や歩行をしている方は、実は殆どいない状況です。足元のアーチの支点保持反応を高めることにより、足部からの姿勢の安定は勿論の事、骨盤の回旋運動や日常からの骨盤の向きの修正も可能です。