第5回 トライアングルテクノロジー

身体の姿勢保持や矯正、運動を起こすための体軸・体幹の土台となる足部の構造について、私はトライアングルテクノロジーと称して説明しています。

この理論は、足部の踵、拇趾球、小趾球の三支点を結ぶ三角形のゾーンと距骨(内くるぶしの内側にある骨)との関係を説明したものです。人間が二足歩行を行うために必要としたこの三支点と距骨は、カメラの三脚と同様の役割を果たしています。

三支点の上にあるカメラの台座が人間の距骨に相当し、そこから身体全体の姿勢保持や骨盤の運動が行われています。

カメラの三脚は、どのような不整地でも三脚の長さを調整する事で台座を安定的に支えることが可能となります。しかしこの台座の位置が、三点を結ぶトライアングルゾーンから、外れてしまうと三脚を立てることが出来なくなります。

人間の足部も同様の状況で、足部の三点支持によるトライアングルゾーンに距骨が位置している場合には、足部は安定し大きな負荷や運動を起こすことが可能となります。

女性がハイヒールなどを履いている時にグラグラとしているのが、このトライアングルゾーンと距骨の関係にあり、正しい位置に距骨が位置していないと足部アーチの弱った方向に足首や膝が倒れてしまい、安定した姿勢保持は出来なくなります。実はハイヒールが不安定でグラついているのではなく、自身の足部が不安定なために起こっている現象なのです。

このトライアングルゾーンを形成する三支点は、一般的にはアーチ(足弓)と言われています。踵から拇趾球間の内側縦アーチと踵から小趾球間の外側縦アーチ、拇趾球と小趾球間の横アーチと表現されています。

三支点を結ぶ骨格がアーチ状になり、足の裏に隙間を持った構造だからです。

何故、隙間ができるのでしょう。踵から拇趾球、小趾球側には幾つもの靭帯や腱があり、アーチ(足弓)の弦の役割を果たして、アーチ形状を作ると共に足裏の衝撃を吸収するためのバネの役割や姿勢保持の為に骨盤位置を誘導する役割を持っています。