第5回 「テーピング、3本指・5本指ソックス」

スポーツの世界や治療において日常的に使用されている「テーピング」、また足病予防や素足感覚を取り戻す為の「3本指・5本指ソックス」について、今回は、誤った理解や使用方法などを身体バランス理論の観点から説明したいと思います。

「テーピング」には伸縮性の有る物と無い物があります。
用途としては、固定を主目的とする物、皮下リンパや血流を活性させる物との違いがあります。
今回は、固定を主目的とした足部(足首から下)への使用について説明します。

足部に対しての「テーピング」は、関節固定となる為に、安静時に効果のある処置です。
しかし、歩行や運動時に行うと各アーチの運動が妨げられる為に、バランス保持能力が極端に阻害されて、危険な状況となる事を知っていましたでしょうか?
他の部位と同様に、筋肉または関節の補強サポートとして固定してしまうと、足部の場合には、足部全体が関節の集合体である為に、足部の関節運動を阻害し、結果的に姿勢保持が困難となり、転倒は勿論、他の部位まで障害を広げてしまいます。

特に足の甲部にアンカーとして普通に巻いていたテープが足部の各アーチの運動を妨げる場合に起こります。足の甲部は、縦アーチの最も稼働する部分で有り、横アーチに関しても、横アーチを形成する為の基礎となる部分です。
通常の「テーピング」は勿論、伸縮性の有るテープでも巻き方次第で、足アーチ運動を妨げる為に危険な上体となってしまいます。

サッカー選手が足部を痛めて、「テーピング」を施して戦線に復帰する光景を見た事はないでしょうか?
殆どの場合、数分後に直ぐ交代となっています。足元が安定せずに高いレベルのパフォーマンスは出せないのは勿論の事、姿勢保持の為に、必要以上に姿勢保持筋の筋運動が必要となります。

当然、足関節の反応が落ちる為に、姿勢保持筋の負担や膝関節・股関節に無理のあるバランス保持となり、結果、膝関節痛や腰痛まで引き起こす事まで考えられます。
足部への「テーピング」による固定は、安静時に使用する事が望まれます。歩行も含めた運動時での使用は、不安定で危険な行為となりますのでお気を付け下さい。