第2回 足首関節のエクササイズ 伸展(足首を伸ばす動き)、背屈(足首を曲げる動き)
第2回 足首関節のエクササイズ
伸展(足首を伸ばす動き)、背屈(足首を曲げる動き)
足首関節の伸展や背屈を行う運動は、前後の重心位置や膝・腰の前後位置のコントロール、膝も含めた骨盤の回旋を行っています。この足関節のエクササイズを高めることにより、前後のバランス保持は元より、姿勢改善や運動時の身体の回旋力が高まります。
足首関節の伸展背屈運動は、椅子に座った状態でも、床に座って足を投げ出した状態でも、どちらでも行うことが出来ます。
伸展運動は、足首を伸ばし押す運動です、この時に漠然と足首関節を伸ばすのではなく、足の指や拇趾球、小趾球でも押し返す意識が持てることが大切です。ゆっくりとした伸展運動が出来るようになったら、押し伸ばすスピードを徐々に速めます。日常の腰を後方に移動させる運動や膝関節を後ろ方向に押し返す動作をこの運動で行なっています、前側への転倒予防には、このスピーディな押し返しが役に立ちます。また、前側に膝が抜けた姿勢を改善させる為にも必要な運動です。
次に背屈運動です、足首を曲げる事で、体全体を前方に移動させることや膝関節を前側に筋力を使い曲げる事ができます。足の甲と脛で物を挟みこむ要領で行うと前脛骨筋に対しての適正な運動となります。一般的には、この方向の膝関節の移動は背屈による緊張で行っているのではなく、足関節の弛緩により行っている場合が多く、慢性的な足関節の弛緩が、変形性膝関節症などの膝の疾病や腰痛、姿勢前屈の要因となっています。また背屈運動による膝関節位置のコントロールは、反張膝の矯正にも有効な運動です。
足首関節の伸展、背屈の要領が理解できた段階で、左右の足首の伸展と背屈を交互に行う事で、足首関節の交互の曲げ伸ばし運動を行います。伸展運動を中心に交互運動を行った場合と背屈運動を中心に交互に行った場合に、使用される脚部の腱や筋肉に負荷を感じることができればこのエクササイズが求めている内容です。
より高いレベルの運動を習得するために、次は、B-TR上で足部に荷重が掛った状態で行います。
足裏からの腱運動や骨盤や膝関節が誘導されることを感じながら行う事が重要であり、より高いバランス保持力を養い、鉛直な姿勢に改善することが可能となります。
骨盤を前に出して足指に強く荷重します。そこからゆっくりと足指と足部の押し伸ばしが行われます、骨盤が後に押し返されて上体は前に傾いた状態となります。
次に、足指を上に引き上げてゆっくりと足部の背屈(足首を曲げる運動)が行われます。弛緩による足首関節の曲げではなく、甲を引き上げながら脛を前方に倒していく運動です。背屈が進むにつれて、骨盤が前に移動される為に、最後はエビ反りの姿勢になります。足首関節と下腿の筋力で骨盤を誘導する事がポイントです。
左右交互の伸展をベースに行っても、背屈をベースに行っても、勿論、相互に反する運動を行っても、足部の運動だけで、体全体が左右に回旋されることが確認できると思います。
これらの身体の前後運動や回旋運動は、この足裏の初動から行われている事が理解でき、無意識な状態でも姿勢保持の反射運動を高めることが目的です。