第6回 足関節と股関節で歩行姿勢が作られる

本来、人間が素足で歩く時は、つま先側から着地して歩きます。特に危険を感じた場合の歩き方は、重心の移動と同時につま先側から着地して、重心が乗り込んだ段階で、後ろ足が弛緩する形で持ち上げられます。この歩行が、抜き足、差し足と言われている歩行運動です。着地と重心移動が同時に行われ、後ろ側の足は重心を移動する為に踏み蹴りと重心移動後の弛緩が行われています。

このような歩行は、新体操や水泳のシンクロナイズドスイミング、社交ダンスなどでも、綺麗に伸びた真直ぐな姿勢で、脚部の腱をしっかりと伸展させながら歩いている歩行となります。どなたでも足のつま先側から着地して歩くことで、背筋の伸びた綺麗な姿勢で歩くことが可能です。脚部の伸展運動を十分に活用した歩行は、体幹の安定と循環機能を活性させる効果があり、心肺機能の補助や自律神経、治癒能力の活性にも関係しています。

足関節とは足首から下の関節群の事を言っています。関節の集まりである足部は、骨盤の前後左右の位置や回旋を足の上下にある靭帯をコントロールすることで行っています。

軸足となった足部の反応により、歩行時の土台となる骨盤の安定が生まれ、軸足とは逆の足は股関節からの脚部の移動が可能となります。歩行時の大腿の向きや膝の方向などが、全て足関節からの動きに現れます。

膝関節は踵骨の傾きの延長上に出て行く為に、踵骨回外(体の外側に出て、足部関節が体の内側に倒れている状況)していると膝はつま先より内側に向いた向きに移動し、つま先は外向き足での歩行となります。その逆に、踵骨が内側に向き、踵骨回内(踵の関節が体の内側に入って足部関節が外側に倒れる)になると膝関節は、つま先より外側に向いた移動となり、つま先は内向き足での歩行となります。