第3回 膝関節の痛みと骨盤の関係について
鉛直な重力負荷と姿勢・骨格の関係
人間の骨格は、遺伝的な要素と環境的な要素から骨格形状や姿勢に変化が起っています。
重力による自分自身の重さを支えながら姿勢保持を行っている訳で、筋力の低下や慢性的な運動による負荷などが強くなると、自重によってバランスが崩れて、ゆがんだ姿勢や変形性膝関節症・腰痛症などの疾病となって現れます。
年を取ると体は曲がり、徐々に運動力が落ちて、歩けなくなり、要介護の世界になってしまう、どなたもその様に考えているのではないでしょうか、著名なドクターや多くの治療家も含めて、この展開が世の中の常識と考えていると思います。
解剖学的な見地と称して足裏のアーチ補正や歩き方などを多くの方が解説していますが、本来的な足部の機能や履物の歴史・現状を理解されている方は少ない様に感じています。
本来ならば、人間の足部の機能を十分に発揮できるシューズやインソールが世の中に溢れていなければならないのに、現実は足部の機能を弛緩、退化させてしまうフィット感やファッション感覚ばかりを求めたシューズやインソールで溢れています、今後、数年・数十年先に変形性膝関節症や腰痛症、更には、循環機能の低下による心肺機能不全など、現代病や生活習慣病が更に世界中に蔓延するものと思われます。
重力によってゆがみや関節痛を引き起こすのではなく、逆に重力を利用する事で、楽な姿勢を築き、いつまでも歩き続けられる体を手に入れる、正に真逆の発想が必要です。
ゆがんだ姿勢より重力軸に近い鉛直な姿勢で暮らすことが理想の姿勢に決まっています。
足部の土台としての役割を見直し、本来の素足感覚が常に発揮できるようにさせる事が望まれます。足部の靭帯が適度に伸縮する事により、足裏の各アーチが本来の土台となり、膝関節や骨盤位置を負荷の少ない鉛直方向へ無意識に移動してくれます。
鉛直な姿勢に近づくほど、姿勢保持筋の使用量が時間的、質的に少なくて済むわけで、この事は、効率的な姿勢保持による筋力の無駄をなくして、更には運動筋を自由に活躍させる事を意味しています。
また、脚部の骨格は長さや太さ・曲がり等、様々ですが、骨粗しょう症の予防やしっかりした骨密度を維持する為には、鉛直方向からの骨への荷重が重要となります。斜め方向や関節に負担が起きる動きではなく、重力や自重を利用して、骨に対して真直ぐに上から掛かる負荷が骨密度を高めてくれます。その為にも安定した土台と骨や各関節の位置や自然な動きを
考えた姿勢づくりが重要な対応と考えています。