2018 第6回 弛緩が引き起こす危険

弛緩が引き起こす危険

マッサージやストレッチ運動、筋肉の強張りを緩和し、各関節の可動範囲を拡げる事で、身体は元より精神面にもリラックス感を感じる事ができます。自律神経の副交感神経を優位にすることから免疫力の向上や疲労回復などの効果も期待できます。このような考え方から、世界中の医師や理学療法士、施術家が普通に行っている筋肉や関節に対してのアプローチ治療です。

この治療行為には、幾つかのキーワードがあり、忘れられている、又は知らない可能性が
有ります。
1 人間は常に重力に対して対応しなければならない
2 誰でも元々の身体がゆがみを持っている
3 いったん緩めた身体は、重力によってゆがみが進行する
4 様々な生活環境によってゆがみを悪化させている現状がある(靴、サポーター等)
5 抗重力筋の張りや反応をリセットしなければならない
6 各関節の緩みを引き締めて鉛直方向への骨格誘導指導が必要

このようなキーワードを忘れてはいないでしょうか?
一旦身体を緩めた状態での放置は、気持ち良さと引き換えにゆがみの進行を速め、そのまま行動を起こす事が姿勢保持反応の低下から大変危険な状態にあるという事です。
マッサージやストレッチ運動を行った後の身体は、基本的に安静状態にいる事が好ましく、
そのまま活動を起こす事が転倒の危険性や不安定な体での行動が事故等の原因にもなる事が予想されます。

ゆがんだ体のままで、幾ら筋力トレーニングを行いアウターマッスルを鍛えても、筋肉の重さやこわばりが逆にゆがみを進行させるだけです。また、緩める技術は治癒効果や精神面の安らぎを求めるには最良ですが、運動時には危険な状態が待ち構えています。
スポーツジムやスポーツ選手が、無意識に行うストレッチ後に運動を開始する事で傷害が起き易くなっている現状があります。スポーツ傷害は、開始直後や昼食後などの身体が緩みやすい時間帯に発生しています。

マッサージやストレッチ運動、施術を行った後のクライアントに対して、しっかりとした
体幹や姿勢保持反応を作ってみてください。

一旦緩んだ身体は、そう簡単には重力に対して、強い姿勢保持反応を作る事ができないという事が理解できると思います。筋収縮や筋弛緩、腱のストレッチ運動までも、全てが身体を緩める為の運動です。

うそろそろ目を覚ましても良いかもしれません。
緩める「技」の効果を引き出す為には、その後の時間帯が重要になります。
その後に、どのようにゆがみを引き起こさせずに効果を持続させられるかに掛かっています。
治療よりも治療後の時間帯をどの様に過ごさせるかが、より大切な事と感じています。

6回コラム

日常から緩み切った身体が筋肉の強張りや姿勢保持力の低下を生み、運動力そのものも低下させています。更に、現状の靴の多くは足裏から足底腱の弛緩を引き起こしている為に、
緩んだ身体がしっかりとした体幹や姿勢保持反応を築くことは出来ません。

姿勢保持筋は元より運動筋に対しての反応を高めて、健康な姿勢を維持継続させることが
必要な事で、緩めるではなく、「緊張」または「張り」を作る事が、大切な世の中になって来ています。

ではどのように対処すれば良いのでしょうか、
1 鉛直方向への姿勢改善(骨格形状の見極め、姿勢改善運動指導)
2 伸展系の抗重力筋や筋膜リレーションに対して活性運動指導
3 姿勢保持力の反応を高める為の運動指導
4 維持継続させる為の日常運動指導や用具活用

身体の筋肉の緩みや関節の緩みをリセットさせる為には、上記の様な考え方が必要です。
四つ足から進化した人間にとって、体幹を安定させて姿勢保持反応や運動力を最大に生かす
為には、手のひらと足の裏の反応を強化する事が全てと考えています。

詳しくは、また次回に掲載します。