第5回 スポーツにおける腱と骨格「手足の腱の活用法」

1 足部と骨盤の関係

人間は姿勢を保持する時や運動を起こす時に、骨盤を適正位置に移動させる為に、足部の三支点への押し返しやアーチの上下運動により骨盤を誘導しています。

足部の基本的な動きは、足首関節の伸展、背屈、内返し、外返し、内転、外転などが、

その運動であり、立位で足部が接している場合に、膝関節を中継して、骨盤が誘導されています。

伸展(底屈) = 膝関節または骨盤を後方に移動させる動きを行っています

背屈    = 膝関節または骨盤を前方に移動させる動きを行っています

内返し= 小趾球側の押し返しの運動や膝や重心の外側への移動回旋を行っています

外返し= 拇趾球側の押し返しの運動や膝や重心の外側への移動回旋を行っています

内転 = 伸展に伴う運動で可動範囲は大きい、骨盤の外側への回旋調整を行っている

外転 = 背屈に伴う運動で可動範囲は小さい、骨盤の内側への回旋調整を行っている

 

 

2 手のひらの対応能力と反応

四足動物の時の前足であり、姿勢保持や抵抗への対応能力を考える時に重要な役割を

果たしている。常に押し返したい方向や壁に対して向きを合わせるのが手のひらです。

階段の昇り降り、球技、陸上、等々

逆に手の甲側は、常に弛緩からその方向への移動を起こし易い、移動する場合には、手の甲から移動するとスムーズに移動できる

 

 

3 手足の腱のリレーション

右手と左手、右手から右足、右手と左足といったように、左右の側同士では同調した動きとなって現れ、左右が逆側でクロスした運動では、腱に反比例した逆の反応が起きやすい。常に同調又は反比例した動きは、筋膜によってリレーションされた運動で起きる。また、骨格により、前後左右の腱の拮抗が変わる為に、手の動きと足の動きに骨格による反応の差が現れる

左手と右手の場合、腱の引き合いから逆の動きを起こし易いが、同じ側の手足の運動は同様の運動を引き起こしやすい。また、また手の位置が体の中央を超えると逆の足の運動を引き起こしやすい。

手首の伸展(掌屈)= 足部の伸展(底屈)

手首の背屈    = 足部の背屈

 

 

 

4 腕と脚部の関係

下部で腕が伸ばされている状況で行う運動は、脚部の運動に反応しやすい。

腕の回内外による骨盤の前後傾が起きやすく、腕の前後位置により骨盤の前後位置を

誘導することができる

 

 

5 脚部と骨盤の関係

大腿四頭筋とハムストリングスにより、膝関節の曲げ伸ばしと骨盤の前後傾運動が

連動する。立位の場合足部の運動で膝関節の前後運動を行う事で、骨盤の前後傾が

誘導されるのはこのリレーションによるものです。

大腿四頭筋 = 膝関節の伸展、股関節の屈曲

ハムストリングス = 膝関節の屈曲、股関節の伸展、内旋外旋

 

 

6 腕と上体の連動

腰から上に腕を上げると腰部または上体の動きと連動しやすい

腕の回内、回外による背骨の湾曲(前後)の誘導を行う事ができる、また側弯に

対しての誘導は、体の正面で両腕を回内または回外して、その状態で、上体の回旋を

両腕の方向を変化させて行う

 

 

7 腕と頭部の関係

腕の回内外により肩甲骨の動きが起きる場合、頭部の前後位置や傾き、回旋と連動した

動きが起きる、腕の曲げ伸ばしと頭部の傾きや回旋も同様に関係する。

 

 

足部から始まる運動をより高いレベルで引き起こす為にも、手や腕の活用が重要となり、

高齢者の歩行やアスリートの技術向上には、この一連のリレーションのレベルの向上や

研究が必要と考える。