第6回 「筋緊張・筋弛緩」

次に「筋弛緩」ですが、適度な弛緩という言葉遣いは一般的には無いように思います。
緊張しないでと言っても、適度に弛緩してとは聞きません、精神面では、適度に落ち着いた状態で、リラックスという言葉がそのまま適しているように思えます。
精神的な安定は、副交感神経優位となりリンパ球が増えて生活習慣病の発生を抑えてくれます。また就寝時等の副交感神経優位な状態になると不随意筋(心筋、内蔵筋)などの意識的に動かせない筋が活動します。
逆に、運動不足や精神的な緩みから副交感神経が優位になり過ぎると、アトピー性皮膚炎やぜんそく等のアレルギー症状がでる場合もあり、血液の流れも悪くなります。

精神面の緊張やリラックス、肉体面の筋緊張や筋弛緩は相対関係にあり、健康づくりには、適度な緊張「筋緊張」と適度な弛緩・リラックス「筋弛緩」が相互に繰り返し行われている事が重要な事と感じています。

この様な、「筋緊張」「筋弛緩」は、精神面、肉体面に大きく関わる自律神経の交感神経と副交感神経の働きに直結したものですので、健康をコントロールする為には、落ち着いた状態で、適度な運動を行う事が重要です、どちらの神経に傾く事も無く、自律神経のバランスを相互に高いレベルで安定させる事が理想となります。

この「筋緊張」と「筋弛緩」は、運動時に働く筋群に使う場合が殆どであり、姿勢保持筋(インナーマッスル)では余り言われません、稀に、スポーツトレーナーなどがインナーマッスルを鍛えて、体軸や体幹を維持するとか言っていますが、子供からお年寄りまで、無意識に姿勢をコントロールしている筋肉を鍛えても、綺麗な身体や歪んだ姿勢を治す事が出来るとは思いません。
身体の歪みを引き起こす要因が足部からの骨格にあり、筋肉を鍛える事で、姿勢保持をさせようとする事に無理があります。
身体の姿勢保持している筋と運動時に働く筋には、反比例の関係があり、身体の歪みが酷くなって姿勢を保持する為の筋肉の使用が多くなると、運動を行う為の筋力が少なくなってきます。
逆に、姿勢を少ない筋力で保持できると、運動を行う為の筋肉に余裕が生まれます。
少ない姿勢保持筋で身体を支えられている状況とは、重力に対して、鉛直に対応した身体が出来ているという事になります。

このように鉛直に整った身体は、「筋緊張」による体軸や体幹の保持では無く、どちらかというと「筋弛緩」に近いリラックスした鉛直な姿勢となっています。
格闘技やスポーツにおける構えと同様で、整った姿勢でリラックスして、足元に落とした重心は、重く安定した身体を作り、運動時には軽やかな身体運動を可能とします。