2018 第12回 健康寿命を高める為の運動

健康寿命を高める為の運動
いつまでも健康で自分の足で歩く、出来ればスラっとした綺麗な姿勢で歩きたいものです。綺麗な姿勢で歩行を続けられる事こそ健康寿命を延ばす事に繋がります。歩けば良い、闇雲に運動すれば良いというものではありません。誰でも体に多少のゆがみを持って生活しています。

 

この歪みが悪化しない様にコントロールしているのが、足元から始まる姿勢保持筋なのですが、この姿勢保持筋が、様々な外部の影響から弛緩してしまい姿勢保持反応が阻害されると、もう運動どころでは有りません。健康に良いと考えて6000歩、7000歩と歩いている事が、体のゆがみを更に悪化させて関節炎や循環器系の疾病を引き起こす原因となっているかも知れないのです。

 

健康寿命を高める為には、日常生活で積極的に活動できる環境が有れば十分です。
無理に歩く事やジムで筋力トレーニングを行う事ではなく、日常から成るべく体を使って活動する事を心がけると良いでしょう。幾つになっても筋肉は活性(再生)すると言われています。だからこそ、いつまでも歩き続けられる姿勢を作る事が重要になります。

 

足裏の支点保持力を高めて、更に骨盤位置の鉛直方向への安定が、姿勢保持反応を引き起こして、より鉛直で綺麗な姿勢を築くことが出来ます。さて、ではどのように姿勢保持反応を高めるのでしょうか。一般的にアーチと呼ばれている足の裏の隙間を確実に完成しなければなりません。足の裏に隙間がある事によって、アーチを築いている足底腱などの伸展系の姿勢保持筋が活性されて姿勢変化が現れます。
足裏に隙間があり、その支点の押し返し反応が高くなる事が重要で、アーチの形を作る事が目的となってしまっては、本末転倒の話となってしまいます。アーチの形を作ろうと盛り上げた形状が、足底腱の活動を止めてしまう事から非常に危険な弛緩状態を作ってしまいます。またこのような構造は、運動筋による姿勢保持が行われることから、慢性疲労や変形性膝関節症や腰痛症なども引き起こす事も考えられます。

 

先ずは、素足感覚を呼び戻しましょう。素足で板の間や少し硬さを感じられるようなフロアマット等に乗ってみてください。足の裏の踵骨、拇趾級、小趾球の三点部分の骨で床の硬さを感じて支えていると思います。この素足感覚こそ、今の人間が文明によって退化してしまい、失ってしまいそうな動物的な姿勢保持能力なのです。

 

次に支点保持力を活性させる運動です。足の裏の拇趾球と小趾球がしっかりと押し返しの運動を行う事で、足首関節をベースに膝関節、骨盤が順番に誘導されています。簡単な運動としては、足を投げ出した状態で足首の背屈(足首を曲げる)と底屈(足首を伸ばす)運動を行います。それぞれ曲げた状態、伸ばした状態で5秒ほど止めてください。この運動は、骨盤の前後位置や膝関節の伸展運動をコントロールしている運動です。実は日常的に行っていると思っている曲げ伸ばしの運動ですが、ご使用の靴によっては、全くこの運動が出来なくなっています。

 

次に、左右の足の裏を向けあう運動です。この運動は足部の内返しと呼ばれる動きで、小趾球の押し返し運動を高める動きとなります。この運動も一番向けあった状態で5秒ほど停止してください。内返しの運動が理解できた段階で、逆の運動も行います。外返し運動です、この動きは、足の裏を身体の外側に開く運動です。つま先が外向きに開く運動です。身体の回旋や左右移動、拇趾球の支点保持運動を高める動きです。

 

一連の支点保持を高める運動は、骨盤位置を適正な位置に誘導する事を無意識に行っています。この支点保持能力を高めておくことが、より綺麗な姿勢を完成させる事、継続的に維持させる事に繋がっています。

 

次の運動は、スロースクワットです。人間の脚部関節の組み合わせは、腕の前まわしでは屈曲した動きとなる為に姿勢づくりには適しません。必ず、腕の後ろ回しの伸展系の運動で行います。
腕を身体の後ろに持って行きます。ここからゆっくりとした脚部の曲げに合わせて、腕を下から回して身体の前で腕が伸びた位置で脚部の曲げも止まります。一呼吸おいて左右の腕を横に開きながら脚部も元の立位に戻ります。下に向けて下がる運動時には息をゆっくりと口から息を吐きだします、少し止めてから立ち上がり運動で、ゆっくりと鼻から息を吸い込みます。

 

この一連のスロースクワットは、しっかりとした立ち姿勢や脚部の筋力を活性させるだけでなく、循環機能を活性させる意味合いもあり、簡単運動なのですがとても有効な運動です。大腿筋やハムストリングスを鍛える腰を低く下げるスクワットではなく、姿勢保持に必要なスクワットは、足首を曲げて、足首を伸ばすスクワットです。成るべく、膝関節を曲げないように行う事で、身体を支える能力が高まります。

 
12回