2018 第7回 歯の噛み合わせとゆがみ

歯の噛み合わせとゆがみ

歯の噛み合わせは、食べる時の奥歯での擦り合わせや歯並びに関係するだけでなく、姿勢と大きく関わりを持っています。特に噛み合わせは、立位だけでなく、歩行時のバランスにも影響して、体に係るストレスや筋肉疲労にも関係しています。
頭部や上半身を安定させる事で、脚部が運動を起こし易くなります。頭部や上半身が傾いていると歯の噛み合わせが偏り、綺麗な噛み合わせにはなりません。勿論、体軸にもゆがみや弛緩が起こり、歩行にも問題が生じます。歯科医での治療による噛み合わせが、安定した上体を保ち、パワーロスを少なく出来る事は言うまでも有りません。頭部を真っ直ぐに安定させる為には、歯の噛み合わせが重要なバランス保持の要素となります。

 

問題は重力にある訳なので、歯医者さんで噛み合わせのテストを行う際には、必ず、立って行う、少なくとも座位で身体を起こして行うのが本来の噛み合わせテストです。試しに頭部を傾かせて、歯を噛み合わせてみてください、噛み合わせが悪くなり上部の奥歯が当たるようになります。更に下顎を前後左右に移動させると上半身のバランスまで崩れて反応する事も確認できます。
参考までに、歯の噛み合わせを調整する事で、身体のバランスを整える治療を行っている歯科医の先生も居られます。笠茂享久博士です。歯科治療でBALANCE理論を実践されている様な先生です。著書には「歯科医さんが書いた歯とカラダの本」オークラ出版「歯はいのち!」文藝春秋 があります。大変興味深い本ですので、気になる方は読んでみてください。

 

一連のこの現象は、姿勢保持に関わる神経伝達が、身体を巡る筋膜リレーションによって行われている為に起こっています。足の裏側の足底腱膜から始まる伸展系の筋膜リレーションによって、背中を通り頭部から瞼までの張る運動が行われています。また、下あごの前後運動や口を開く動きによって身体の弛緩が起きやすいのは、顎から始まり身体の前部を通過して足の甲に向かう屈曲系の筋膜リレーションが反応する事で起きています。
さて、本題ですが、重い頭や上体を歯のかみ合わせで、全て整える事には難しさがあります、
理由は、基本となる静的バランスが有るからです。このバランスを整える事が出来ないと動的バランスは元より、体軸のコントロールが出来ません。

 

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頭部右傾斜  頭部左回旋
基本的に頭部の傾きや回旋は、足部からのバランス保持の為の最終的な反射運動となりますが、頭部の場合、更に主眼と主聴力の左右差により傾きや回旋が顕著に現れます。
衣食住の全てに於いて甘やかされた環境や誤った理論の履物によって、人間本来の動物的な機能を衰えさせてしまいます。

 

現代人の生活環境から素足の感覚が無くなっている現実を多くの方が認識しなければなりません。その為にも、足元からの身体バランスを適正に活性させる事が重要なメンテナンスとなります。素足感覚となる足部の踵骨、拇趾球、小趾球の骨による三支点での姿勢保持と足元からの靭帯や筋膜リレーションを活性させる事で、骨盤の前後左右位置や回旋を調整する事ができ、上半身や頭部の体軸を鉛直方向に近づける事が可能となります。

 

当然ですが足元から身体バランスの調整を行う事でも、歯の噛み合わせは整ってきます。
重力によって掛る負荷(体重)を押し上げている足元と姿勢保持の指示を司る頭部を安定させる事で、パワーロス(筋肉疲労)の少ないしっかりとした姿勢が出来あがります。
但し、立っている間、移動している間だけだという事を忘れてはいけません。

 

誰でも行う座るという行動、この座位でも身体は、立位と同様にゆがんでいます。
座った時には、骨盤を土台に上半身が立っている時と同様の身体の歪みが起こります、
骨盤の前後左右の傾きや回旋により腰椎、胸椎、頸椎が傾いた骨盤に対してのバランス保持を行っています、そして頭部が上部で最終的なバランス保持を行っています。

 

足元からのバランス調整や歯の噛み合わせを調整する事で、ある程度、頭部が真っ直ぐに立つようになりますが、座位での土台(骨盤)の傾きまでは力が及びません。座位では、足元から作られた骨盤の前後左右位置や前後傾、回旋、更に骨盤の前後の開閉からの座骨位置の変化が上体のゆがみを増長させています。この上体のゆがみに対しての対応は、立位の様に骨盤を移動させる事でバランス保持ができない為に、インナーマッスル(姿勢保持筋)は元より、ゆがみが強い場合には、腹筋群や背筋群を活用して座位を維持させています。

 

BALANCE理論に元ずく「坐骨調整シート 楽座衛門」はこの問題を解決する為に開発した商品です。座位での上体の傾きを重力方向に対して整える事により、歯の噛み合わせは勿論、歪みから起こる慢性的な筋肉痛や血行障害などに対処できる構造を持っています。
長時間の座位でも違和感なく座っている事ができて、上体が鉛直に近づく事で、左右にずれていた軸位置も中央に近づき、上体の傾きから足を組む癖を持っている方も、足を組む事が難しくなる座布団です。座り立ちも「よいしょ」ではなく、楽にワンモーションで立つことが可能となります。

 

足元と座位を重力に対して無理無駄のない姿勢にコントロールする事で、スポーツや美容は勿論、生涯に向けて、様々なシーンをストレス無く快適に過ごしていただける事と思います。

 

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