第2回 膝関節の痛みと骨盤の関係について

足底靭帯の活性と腱の拮抗による痛みの緩和は可能か

足底靭帯からの腱は、アキレス腱、膝裏を通り、身体の後側の腱をコントロールする役割を果たしています。また、足の甲側から始まる腱は、前脛骨筋や大腿を通り、身体の前側の腱をコントロールしています。そして、どちらの腱も姿勢保持筋として姿勢形成や維持に活躍しています。

足部から始まる腱は、身体の前後・左右・回旋などの運動を誘導していることは勿論ですが、安定的に姿勢を保持する役割がある為に、体重の増加や筋力の衰えなどが原因となって、過度な荷重負荷や筋弛緩などが起こると、腱の拮抗が崩れて、姿勢の悪化や関節障害などが発生してしまうと考えられます。

 

また、現代人の足底靭帯は、誤ったシューズ形状やフィット感が高められたインソール等により、慢性的に弛緩が引き起こされています。それにより拮抗した姿勢保持筋のバランスが

履物により崩されて、運動能力の低下や身体のゆがみ・過度なストレス、様々な疾病の引き金となっているのが現実です。シューズメーカーによってファッション的に作られたこれらの商品に起因した現象だとは、誰も考えない事かもしれません。

 

この足底靭帯を活性させて、足部の回内外の運動を適性に行う事ができる足部に運動指導していくと、距骨位置は安定した位置に留まる事が可能となります。安定した位置とは、距骨が、踵、拇趾球、小趾球を結んだ三支点のトライアングルゾーン(三角形)の中に位置する事です。身体の重さは、脛骨を通して距骨に落とされます。そして、距骨はカメラの三脚の台座と同様に身体の重さを三支点の延長上で台座となって支えて、足部の揺れが無くなることで、膝関節を通して、骨盤を安定した位置に留める事ができます。

 

足部の活性を求めるだけで、筋力の衰えに関係なく、鉛直方向への身体への変化が現れます。

それは、人間の体は、より楽な姿勢を求めようとする為に、無意識に余計な筋力を使わない鉛直に近い姿勢を作ろうとするからです。

 

骨を丈夫にする為には、ビタミンやカルシウムだけでなく、骨の骨頭から真直ぐに負荷が架かっていることが重要と言われています。

特に骨密度は、年齢と共に低下して骨粗しょう症や骨折の原因となっています。しっかりとした骨を維持する為にも鉛直な骨格や姿勢を求める事が重要です。

鉛直な姿勢は、様々な身体ストレスや疾病が少なくなることは元より、循環器の働きを高めて、免疫力の向上も可能と言われています。

 

体のゆがみを無くして、痛みや様々な疾病から身体を守ることが、現代人のライフワークとして必要になります。その為にも、足部靭帯の活性と前後左右の腱の拮抗を意識した姿勢づくりや運動指導が大切な世の中になってきていると思います。