第12回  重力を利用した無意識な姿勢改善と管理

地球に住む生き物は、重力により地球の上で生活を営むことが出来ています。中でも人間は、この重力の存在を知ったことで、様々な発明や文明を築いて来ています。重力が落下や重さ、スピードや質量という概念を気づかせてくれました。またその反面、二足歩行を可能とした人間は、その負荷に耐えながら生涯を過ごさなくてはなりません。赤ちゃんの時に寝返りから始まり背骨や頸椎が安定してきます、お座りの段階で骨盤がしっかりとして、這い這いまで出来るようになると股関節や肩関節までが安定した動きが出来て、四足動物の姿勢保持感覚が養われます。手や腕の動きがしっかりしてくると、次には掴まり立ちが出来るようになり、後ろ足で立てるようになってきます。この頃から足裏の支点保持や骨盤・背骨を軸とした姿勢保持力が養われます。重力に対抗してその時々の姿勢を変えながら、無意識に姿勢を保持する事を養っています。

然しながら、人間は誰でも加齢と共に筋肉量が少なくなり、体の歪みが大きくなると、筋力で体を支えて歩く事が辛くなります。当然のことながら関節周りの靭帯も弱くなり、関節障害や筋肉疲労による腰痛や肩こりなど、様々な疾病となって現れてきます。そして姿勢は、その時々で体の歪みに合わせた一番楽な姿勢を取るようになります。

重力による体への負担は、特に膝関節や足裏に大きな負担となって現れます。足裏には、身体を支える3つの支点(踵、拇趾球、小趾球)があり、足底腱が各支点の保持力を保ち、足の内外への返しや回旋運動を行っています。その足裏の運動や適度な緊張を持った足底腱が、足部の関節を引き寄せて弓のように形を作り、足部のアーチ(足弓)を形成しています。

加齢による筋肉量の低下だけでなく、フィット感を求めすぎた誤った構造の靴によっても足底腱が筋弛緩する事により、姿勢保持反応が弱くなり、身体の歪みや疲労、関節炎などを引き起こします。